10,000DAYS / TOOL
「10,000DAYS / TOOL」(2006年)
待望の4thアルバム「10,000DAYS」がリリースされました。前作から五年ぶりです。
出身国であるアメリカでは人気のあるバンドですが、日本では少々苦戦しているようです。それでも、今年のサマーソニックにも出演するということで、これで知名度も上がるかもしれません。ちなみにバンドがこれまでに売り上げたアルバムのトータル枚数は1500万枚を超えるそうです。
日本で人気が出ない理由のひとつに、グランジ/オルタナバンドと同一視されているということが挙げられると思います。
バンドのデビューが1992年と、まさにグランジ/オルタナ隆盛期。またバンドの出す音はダークかつメランコリックと、グランジ/オルタナ路線そのもの。とまあこの時点でメタルファンはまず聞かないと思われます。
また、グランジ/オルタナバンドのくくりにあったものの、そのプログレ風の複雑な音楽は難解と受け取られ、グランジ/オルタナファンもあまり聞かなかったようです。
わたくしはTOOLは完全にプログレバンドだと割り切って聞いています。さもなくば現代風のプログレッシブメタル。でもあまりジャンルにはこだわっていません。
リズムやグルーブ主体のバックの演奏に怪しく乗る、浮遊感漂うメイナード・ジェイムズ・キーナンのボーカルが特徴です。淡々としてながらも、どこか暖かみがあり、説得力があります。歌うだけでなく、時にはささやくようだったり、経を唱えている風だったり。
曲は静かに始まり、後半激しいリフの応酬で幕を閉じるという、ドラマティックな展開が多いです。この辺IRON MAIDEN的だと思うのですが、あそこまで扇情的ではありません。
エッジの効いたギターリフは、ハードロック的であり、ダークで叙情的な世界観はKING CRIMSON的でもあります。
重くタメの効いたリフは、「LARK'S TOUNGUES IN ASPIC」や「RED」の頃に似ています。ダークな曲に、暖かみのあるジョン・ウェットンのボーカルが乗るというスタイルは、まさに今のTOOLにも通じると思います。
また、時おりアンビエント的な展開になるところはPINK FLOYD的です。
今回の「10,000DAYS」はこれまでの作品と比べると、ハードなギターが多いように感じました。
ダークでカオスにまみれた世界観と、そこから解放されるような浮遊感と幻想感が渾然一体になった音像は、まさにTOOLにしか出しえない音だと思います。
とは言ってもかなり感想の書きにくいアルバムでもあります。「すごい」とか「深い」とか、ありきたりなことはいくらでも言えますが、それではこのアルバムをとても伝え切れません。
スピーカーから聞こえてくるのはまさに「音」なのですが、音以外のもっと別な空間が脳に届いているような錯覚を覚えます。
聞こえている「音」はきっかけに過ぎず、「TOOL」という巨大なアート作品を構成する一部分ではないかと思えます。それだけ「音」から聞こえる別な音楽や、見えてくる情景というものがあります。見えてくるものは人それぞれ違うと思いますが、「TOOL」とは聞き手の想像を触発してやまない音楽。わたくしはそう考えます。
「個性的なバンドは特定のジャンルにくくられず、バンドの名前がジャンルになる」というのがわたくしの持論でして、まさにTOOLも「TOOL」というジャンルをひた走る孤高のバンドだと思います。
ちなみにバンドメンバーの中にはアートスクール出身だったり、映画関係の仕事をやっていたり、形而上学的なものを音楽に取り入れようとしている人がいたりと、やはりフツーのバンドとはどこか違う集団のようです。
毎回変わった仕様のCDケースを提供してくれるTOOL。今回も凝りに凝ってました。
丸い部分がレンズになっていて、そこから覗き込んだ先の絵が立体的に飛び出して見える仕組みになってます。てか、凝りすぎ!
その分CDの扱いがぞんざいになってる気も……。
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