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「GOTHIC KABBALAH / THERION」

Gk07

GOTHIC KABBALAH / THERION」(2007年)

久しぶりにびっくり級のアルバムにめぐり合えました。

びっくりするくらい出来がいいから、びっくり級と勝手に形容詞作ってますが、それくらい完成度の高い優れたアルバムだと思います。

 

THERIONは鬼才クリストフェル・ユンソン率いる、スウェーデンのバンドです。

デビュー当時こそデス/ブラックメタル路線でしたが、3rdアルバム辺りから叙情的なメロディやクラシカルなパートを導入するなど、現在に通じる音楽性を発揮し始めていました。

当時増え始めていた多くのメロディックデスメタルバンドとはまた違った、壮大かつ荘厳なイメージはとても個性的で、攻撃性と叙情性のバランスが絶妙の4thアルバム「LEPAKA KLIFOTH」辺りが初期の傑作だと思います。実際わたくしもこのアルバム大好きです。

5thの「THELI」で、ずいぶんあか抜けた印象となりオペラを大胆に取り入れるなど、徐々に実験性を帯び始め、6th以降はメタル色が後退していきます。

その後少し低迷しますが、アルバムリリースはマメに行っていました。

2004年にはメタル色が戻り、クラシカルパートとの対比がとても美しい「SIRIUS B」と「LEMURIA」と2枚のアルバムを同時リリース。

この2枚組みのアルバムは、初期のデス/ブラックらしさは全くなくなっているものの、THERIONが持つクラシカルで厳粛なイメージはそのまま、より磨きのかかった叙情的なメロディが融合したバンドの最高傑作だと思います。

 

と、駆け足でバンドの歴史を振り返ってみましたが、今回2007年にリリースされた最新アルバム「GOTHIC KABBALAH」は、最高傑作だった前作をしのぐ更なる最高傑作だと思います。

バンド最高の出来であるだけでなく、これは2007年にリリースされるメタルアルバムの中でも最高峰の出来になるのではないかと、2月の時点で思ってます。てか気が早いか。

 

前作では、メタルパートとクラシカルパートがハッキリ分かれていて、合唱隊の分厚いコーラスが楽しめましたが、今回は前作ほどのクラシカルパートはありません。

メタル色はそのままで、男女四人混声ボーカル隊がコーラスを彩る、比較的バンド的なサウンドとなっています。

THERIONというとメンバーが流動的で、バンドの中心人物であるクリストフェル・ユンソンの「ソロプロジェクト」的なイメージがありますが、今回は特に大幅なメンバーチェンジはないようです。

リードギターとベースはココ近作でおなじみの、クリスチャン・ニエマンとヨハン・ニエマン。ドラムは新加入の人のようです。

インナーの解説にも書いてありましたが、今回クリスチャンのギターソロがとても美しいです。かなり叙情的かつ扇情的なリードを弾いてるので、これはかなり評価が高まりそうですね。

でも今回もっと良いと思ったのが、ベースのヨハンさん。ベースの音が大きいせいもありますが、ベースラインが結構目立ってます。曲によってはメタルっぽくないベースラインもあって、「おっ」と耳を惹かれます。

ボーカルはマッツ・レビンは前作から引き続きの参加。興味深いのは普段はドラマーとして活躍してる、スノーウィー・ショウがボーカルとして参加している点。うまさよりも味で聞かせる、個性的なボーカルで、むしろボーカルの方が向いてるのでは? と思わせてくれました。女性ボーカルも2名参加。

楽器担当4人と、ボーカル担当4人の大所帯ですが、音を聞いた感じではバンドとしてかなりまとまっている印象です。個々のメンバーの見せ場も多く、もはやクリストフェルのソロバンドではなくなってる感じ。

CDのインナーやバンドの公式サイトで見られるバンドの写真が、これまたいい感じで、雰囲気良さそうです。てかクリストフェルさんが、TGFさんのコスプレをしてるっぽいのが笑えますけど。

 

よりバンド的な音になり、メタル色が戻っているということで、結構普遍的なメタルミュージックに近いのであまりこの手のジャンルを聞かない人にもオススメできますね。

THERIONというとオペラメタルみたいな印象があるかと思いますが、その辺のイメージで引いてた人にこそオススメかも。

かといって、THERIONらしさがなくなっているかというと、そういうわけでもないです。

叙情的なメロディはさらに叙情的に、荘厳なクラシカルパートはそのままに。

今までは、メタルとクラシック、オペラなど様々なギミックがくっきり分かれていたけど、今作ではそれらが渾然一体になってひとかたまりの音になってる印象です。

 

今このTHERIONはどんな音楽性なのか?? って聞かれたらひと言では答えられないですね。

一番近いのはゴシックメタルかもしれませんが、ちょっと言葉が足りない感じかも。シンフォニック・ゴシック・メタルあたりかな~??

時にポップにも聞こえるメロディラインは、EVANESCENCEで最近この手のジャンルが気になってる人にもすすめられるかもしれません。禍々しい雰囲気が嫌でなければ。

 

やはり今回のアルバムは全体的にメロディラインの出来がいいです。

ジャンル云々関係なしに、どの曲もフックのあるメロディがあり、最後まで飽きずに聞けます。

今回も前作同様、2枚組みで全15曲とボリュームたっぷりです。

曲聞く前は、もう少し曲絞ってCD1枚にすればいいのに、って思ってましたがどの曲も魅力的で削る曲が見当たりません。

前作と合わせて短期間にアルバム4枚分リリースしてるわけですけど、そのほとんどの曲がデキがいいってとてつもないことです。

なんでもまだ作りためた曲が残ってるということで、また早い時期に自作が発表になるかもしれないですね。

もうベテランの域に差し掛かってるバンドですけど、まだまだアイデアの泉は枯れるどころか、さらに勢いを増してるようです。

北欧のバンドらしい、暗く冷たい、それでいてわきあがる情念のような叙情的なメロディラインが美しいアルバムを聞いて、ついSENTENCEDを思い出しました。

SENTENCED亡き後、極北からの叙情的メロディは自分たちが引き継ぐ、といわんばかりの素晴らしいアルバムだと思います。

 

歌詞世界は、キリスト/ユダヤ教を始め、世界中の神話・宗教からの引用が多いですね。クトゥルフ神話のキーワードも見られます。

その中でも北欧神話からの引用が多いのはやなり北欧のバンドらしい部分でもありますね。

神話・宗教・神・悪魔・哲学・形而上学などをかじったことがある人が見れば、結構面白い歌詞なのでその辺も楽しめますね。

単なる反キリスト・悪魔崇拝ではないので、深みがあって面白いです。

 

曲感想

DISC 1……比較的ゴシック的な曲が集まった印象

1.DER MITTERNACHTSLOWE

クラシカルでメタリックで荘厳な曲で、いかにもTHERIONらしいというか、THERIONにしかこんな曲作りえないでしょう。

アルバムの幕開けには打ってつけの佳曲。
 
  

2.GOTHIC KABBALAH

アルバムタイトルトラックなだけあって、存在感あります。

重々しいイントロとフックのあるボーカルラインの対比が美しいです。

この曲で一番のポイントはフルート。この音色が実に牧歌的で、へヴィな曲調との対比になっていて実に面白い。

JETHRO TULLCAMELをぐっとへヴィにしたみたい♪

 

3.THE PERENNIAL SOPHIA

アルバム中もっとも好きな曲。

ボーカルメロディが美しすぎます。

ダークで叙情的で、退廃的なメロディがあまりにも美しすぎ。

ヴァース~ブリッジを女性ボーカルが、コーラスをスノーウィ・ショウが歌っていますが、そのスノーウィ・ショウのボーカルが素晴らしい!

少しくぐもっていながらも、どこか艶っぽい響きが惚れずにおれません。いい声してます♪

歌詞ではリリスが登場し、失楽園について歌ってるようですが、そのイメージにあまりにぴったりなので鳥肌立ちました。

この曲のメロディがリリスのような魅力を持ってる、とは言い過ぎ??

 

4.WISDOM AND THE CAGE

前半は破壊的なメロディですが、中間より始まる女声パートが美しいです。

さらに後に続くベースソロが幻想的で美しいです。メタルっぽくないギターソロとあいまって、かなり不思議な曲。

 

5.SON OF THE STAVES OF TIME

ソプラノボーカルから始まり、マッツ・レビンの熱いボーカルが堪能できる1曲。

わりとポップでポジティブな曲。

 

6.TUNA 1613

静かに始まるものの、いきなり激しくなります。

ディスク1でもっともメタルらしい曲。

 

7.TRUL

女声ボーカル主体のポップな曲。

ポップって言ってもTHERIONなんで、ダークでへヴィであるのは基本ですけど。

 

8.CLOSE UP THE STREAMS

メタルメタルしたリフが印象的な曲。

引きずるようなボーカルが、どこかCELTIC FROSTを意識してる感じがしないでもないです。
 
 
 

DISC 2……ハードな曲はこちらに集めてある印象

1.THE WAND OF ABARIS

イントロの重苦しい男性ボーカル~さわやかなソプラノボーカル~分厚いコーラスの流れがドラマチックすぎます。

どこかオリエンタルムードなバックスは、LED ZEPPELINKASHMIRっぽくもあったり。

てかけだるさのあるギターソロが美しすぎ。

 

2.THREE TREASURES

曲前半は幻想的なベースラインに押し殺したボーカルが怪しい雰囲気ですが、コーラスでは一変フォーク調で牧歌的なメロディに。

 

3.PATH TO ARCADY

ソプラノボーカルから始まる曲。わりとつかみ所のない曲ですが、メロディ自体の出来は良いです。

4.T.O.F - THE TRINITY

へヴィで疾走感のあるリフが堪能できるメタル曲。初期THERIONに近い感じも。

 

5.CHAIN OF MINERVA

メタルらしくないベースラインが特徴の曲。曲もどこか映画のサントラ風。

 

6.THE FALLING STONE
アルバム中、もっともメタルメタルした曲。

疾走感ある曲のほとんどを、女性ボーカルが歌っており、その手のジャンルの曲のよう。

シンプルなのでライブではカッコイイかも。

 

7.ADULRUNA REDIVIVA

10分以上ある長尺な曲。

どんどん展開していくのでダレずに最後まで一気に聞けます。

あちこちにアコースティックかつクラシカルなパートなど盛り込まれていて、構成が美しい!

 

※日本盤は、この後2曲のボーナストラックが収録されてますが、そちらの感想は割愛。

あくまでオリジナルアルバムの感想にとどめておきます。

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コメント

こんにちは。はじめまして。THERIONファンのYUMIKAと申します。
とっても丁寧に書かれたレビューですね。じっくり読ませていただきました。私も今作への感想を書いていたのでTBさせていただこうとやってみたのですが、どうもうまく反映されなかったようで(汗)。
ところで、今回のツアー、ビジュアル的にも凝っていて面白そうだと聞きました。観てみたいです。

投稿: YUMIKA | 2007年2月23日 (金) 14時07分

>YUMIKAさん
初めまして。コメントありがとうございます。

TBうまくいきませんでしたか? おかしいですね?
ココログがメンテナンスしてたせいかもしれないので、何でしたらもう一度挑戦されてみては(笑)

今回のアルバム聞いて思ったのが、バンドとしてかなり結束力高まってるな~でした。
クリストフェルさん以外のクレジットの曲も結構あったので、他のメンバーの貢献度の高さが伝わってきました。

なので、ライブもチームワーク良さそうだから、さぞかし楽しいだろうな~って思うのですが、すいませんここんとこメタルのライブから遠のいてます。
ハロプロのライブばっかり行ってて(笑)

投稿: ねこぽく | 2007年2月25日 (日) 14時10分

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