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CELTIC FROSTその系譜

の記事は、一年越しで書き上げた記事でございます。何ヶ月かおきに思い出しては、ちまちまと書き上げたものです。

とても長~い内容である上に、非常にマイナーかつマニアックな内容となっています。

親切に解説しながら記事を書いたわけでもないので、ある程度のメタルの知識もないとサッパリ意味不明です。

この記事は、とあるバンドの紹介記事を兼ねた、わたくしの自慢話みたいな内容となっています。

Cfcd

2006年に再結成アルバムをリリースし、2007年1月には初来日を果たした、スイスのアヴァンギャルド・メタル・バンドCELTIC FROST

その来日記念として、2007年1月に過去のアルバムの日本盤がリリースされました。

これは1999年に輸入盤でリリースされたデジタルリマスター盤と同じものです。

音源だけでなく、インナースリーブも全く同一のものですので、すでに輸入盤を持ってる人にはあまりありがたみのないCDです。日本盤向けのボーナストラックもありませんし。

しかし、コレには当然日本語の解説が付きますし、歌詞の対訳もあります。

さらに、オリジナル盤に付いていたトーマス・ゲイブリル・フィッシャーさん(以下TGF)自身のアルバム解説も対訳がされています。

熱心なファンならこの日本語の解説書目当てで買うのもよいのではないでしょうか?

てかわたくしがまさにそれで、1st~3rdまでまとめ買いしてしまいました(笑)

あ、あとついでに言うと日本盤発売元のビクターさん独自の技術「K2HDコーディング」が施されてるようで、デジタルリマスターと合わせてさらに音が良くなってる……のか??

 

今回の「デジタルリマスター+K2HD」ですけど、過去の仕様と聞き比べてみてそこまで違いは分かりませんでした。

1999年にリリースされたデジタルリマスターがすでに結構いい音でして、わたくしかなり気に入っています。

それ以前の仕様は、こもったような音だったのですが、クリアになって聞きやすくなった印象です。

ただ、CELTIC FROSTのようなジャンルの場合、クリアにしすぎるとかえって面白みがなくなるといいますか、多少音が悪い方が凄みが出てそれはそれでいーんですけどね。

そうはいっても音がクリアになったおかげで、音が生っぽくなって、スタジオライブっぽい感じになるので新たな魅力も出ています。

実際レコーディングも短期間に集中的にやってたみたいですし、1st、2ndあたりは曲によっては一発取りしてるかもしれません。未確認情報ですけど……。

 

さて、わたくしはCELTIC FROSTが大好きなのですが、このバンドをリアルタイムで体験したわけではありません。

バンドが解散した後から存在を知り、後追いでファンになりました。

……というより、わたくしはメタルに入った時期が遅かったので、1980年代のバンドは全て後追いです。

CELTIC FROSTというバンドは、活動している時期よりも、解散後に評価が高まっていったイメージがあります。

わたくしが北欧のデス/ブラックメタルにハマっていたころ、必ずと言っていいほど「影響を受けたバンド」としてCELTIC FROSTの名前が挙がっていたのを覚えています。

そこまで「すごかった」のなら、ちょっくら聞いてみようと思って、当時軽い気持ちで聞き始めたのですが、これがハマリましたね~。

てか余談ですけど、当時CELTIC FROSTのCDを買うのはそ~と~大変でした。東京や大阪ならいざ知らず、山陰の片田舎でマイナーなメタルバンドのCDをそろえるのは至難の業。今はネット通販があるからいーけど。

CELTIC FROSTはちょっと聞いた感じではB級の邪悪なスラッシュといった音楽性ですが、独特の美意識や実験的な試みを忘れないアーティスト性が、音楽やバンドイメージ、アルバムジャケット等に反映されていて、並みのバンドとは目線が明らかに違います。

これは、スイス出身であることが多少は影響しているのではないかと思っています。

アメリカやイギリス、ドイツと違って周囲に似たようなことをやってるバンドがいなかったと思います。実際スイス出身の同系統のバンドで名前が出てくるのは、他にはCORONERくらいしかわかりませんし。

周りに比較となるバンドがいなかったおかげで、良くも悪くも自分の思い描くことが存分にやれたのではないかと思います。

……ってこれはあくまでわたくしが勝手に推測したことです。だって、ファンになったときにはすでにバンドは存在せず、インタビュー記事等が読めなかったので、想像や妄想でバンドの姿を思い描くしか方法がありませんでしたから。

今回、CELTIC FROSTの過去のアルバムが日本盤としてリリースされたおかげで、解説書からバンドの生い立ち等が初めて分かりました。

わたくしが予想していたとおりだったこともありましたが、大半は初めて知る情報ばかりで、やはりこの「バイオグラフィー」目当てで買うだけでも大変価値のあるものだと思いました。

 

というわけで大変前置きが長くなりましたが、CELTIC FROST来日記念盤リリース祝いもかねて、今回はバンドの各アルバムの紹介記事を書いてみたいと思います。

てか、ホントは再結成アルバムがリリースされた2006年の5月ごろからずっと書こう書こうと思っていたんですが、なかなか書くタイミングなくてここまでずれ込んでしまいました。

あとこの記事は、初来日となったバンドのライブを見にいけなかった腹いせと、わたくしのコレクションを自慢する、というふたつの意味合いもあります(笑)

 

Cf014
「APOCALYPTIC RAIDS 1990 A.D. / HELLHAMMER」(1984)

CELTIC FROSTというバンドを語る上で外せないのがコレ。

バンドの中心人物TGFさんが、CELTIC FROSTを結成する前にやっていたバンドです。

これはちゃんとしたアルバムとしてのリリースではなく、レコード会社に売り込むために製作された各デモテープの音源を、後になってまとめたもののようです。

ここではスラッシュというよりは、パンク/ハードコアからの影響が強いかな?

かなり短期間にレコーディングされたもののようで、音は悪いし、演奏は下手だし、と良いところはあまりありません。勢いだけは伝わってきますが。

ただ、他のバンドとは違う、スケールの大きなことをやろうとしているのも伝わってきます。要するに技術が追いついてないってヤツですね。

速い曲はとにかく速く、遅い曲は極端に遅く、というバンドのスタイルもすでに見られますから、やりたいことはこの時点で決まっていたのでしょう。

さらにTGFさん独特の吐き捨てるようなボーカルがこの時点で既に完成されてるのが興味深いです。さらにトレードマークの「Uhh!」「Ahh!」もすでにあります(笑)

ちなみにこのCDのタイトルに「1990 A.D」と付いてるように、これは1990年にリリースされたものです。オリジナルは1985年にリリースされたようですが、ジャケット等が変更されています。

CDインナー表記によるバンドメンバー
TOM G. WARRIOR:VOCALS, GUITAR, BACKING VOCALS
MARTIN E. AIN:BASS
BRUCE DAY:DRUMS

 

Cf008
「MORBID TALES / CELTIC FROST」(1984)

HELLHAMMER解散後、結成したのがこのCELTIC FROST

元々はミニアルバムでしたが、後にリリースされた別のミニアルバムとカップリングして、現在ではフルアルバムとしてリリースされています。

音楽性、演奏技術、スケールともにレベルアップしてずいぶん変わった印象です。それでもまだ充分マイナーですけど。

最近のアグレッシブミュージックを聴きなれてる耳には、音の質量的には重さを感じないかもしれませんが、その背景にある禍々しさやおどろおどろしさはハンパではありません。

またバンドイメージも悪魔崇拝的なものを前面に押し出していますが、VENOMがやっていたようなこけおどし的なものではなく、かなり真剣に取り組んでいるのが伝わってきます。

この辺、彼らの趣味も含まれてるかもしれませんが、かなり勉強されたのだと思われます。

暴走スラッシュ的な曲があると思えば、ドロ~ンとしたへヴィな曲までやっていて、結構多彩です。

また、サンプリングだけで作られたような、映画のサントラ風の曲も収録されていて、やはり何か他と違うものがあります。

さらに、コープスペイントと呼ばれる隈取り・白塗りメイクもすでに彼らがやっていて、こちらも後の北欧ブラックメタルへの影響を与えていますね。そういえば同時期にデビューしてるMERCYFUL FATEもキング・ダイアモンドさんひとりですけど、白塗りメイクですね。

Mobid_tales

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOICE/GUITAR/SPECIAL EFFECTS
MARTIN ERIC AIN:BASS/ADDITIONAL VOCALS/BASS EFFECTS
STEPHEN PRIESTLY(SESSION DRUMMER):DRUMS/PERCUSSION
REED ST. MARK:DRUMS/PERCUSSION

 
 
Cf013
「TO MEGA THERION」(1985)

最高傑作と誉れ高い2ndアルバムです。

1stで見せた禍々しさはそのままに、楽曲はさらに研ぎ澄まされていて名曲が目白押し。

バンドの美意識も高められ、クラシカルパートを導入したり、女性ソプラノボーカルを取り入れたりと、実験的なことも始めています。

このアルバムで重要なのが、ティンパニやフレンチホルンといったクラシックの楽器です。これらの重厚かつ荘厳な響きを効果的に使うことにより、さらに楽曲の質が高められています。

それはこのアルバムのオープニングナンバー「INNOCENSE AND WRATH~THE USUPER」でも発揮されていて、重々しいイントロから突然切り込んでくる疾走曲というあまりにドラマチックな流れは、わたくしが勝手に「スラッシュ界のTHE HELLION~ELECTRIC EYE」と名づけています。

 

今回の日本盤添付の解説書を読んで初めて分かったのですが、このアルバムをレコーディングをする直前にオリジナルベーシストのマーティンさんがバンドを一時期脱退していたようです。

そこで急きょ別のベーシストの助けを借りてレコーディングしたそう。だから旧盤のCDでは別のベーシストさんがメンバー写真になっているのですね。

後にマーティンさんがバンド復帰した際、新たにアルバム曲を何曲かレコーディングし直したそうです。

んで、そっちの方が出来が良かったから1999年のリマスター盤以降からマーティンさん音源が使われた曲が混在する現在の仕様となったようです。

それがアルバム②③曲目ですけど曲クレジットにはちゃんと「RE-RECODED 1986」と表記されてるのが親切でうれしいですね。

ちなみに全曲を別のベーシストが弾いてる旧盤ですけど、AMAZONでは中古価格がプレミアついてますね。

あと、バンドロゴも変わっています。シャープになったロゴも悪くないですけど、初期の禍々しい方が好きだな~。

Celtic_frost02

ジャケットデザインは、同じスイス出身の画家でエイリアンのデザインで有名なH.R.ギーガーさん。

スウェーデンのバンドTHERIONは、このアルバムタイトルからヒントを得てバンド名にするくらい、心酔しているようです。

 

ちなみに「TO MEGA THERION」とは、20世紀最大の魔術師と言われるアレイスター・クロウリーが使っていたサインです。

THERION」とはギリシャ語で「」を意味しているそうで、聖書に登場する「NUMBER OF THE BEAST」と同義のようです。こちらは「IRON MAIDEN」が1982年にすでに使ってるので、CELTIC FROSTは「TO MEGA THERION」を採用したのかもしれません。

あくまで日本人の感性ですけど、「NUMBER OF THE BEAST」と「TO MEGA THERION」の二つの言葉を並べた場合、後者の方がまだ趣きが良さげに見えますね。

NUMBER OF THE BEAST」だと、少し子供だましのコケオドシに感じます。

To_mega_therion01

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOICE/GUITAR/EFFECTS
MARTIN ERIC AIN:BASS
REED ST. MARK:DRUMS/PERCUSSION/VOCALS/EFFECTS

To_mega_therion

こちらが旧盤の裏ジャケ。

DOMINIC STEINER:BASS/EFFECTS

この方が急きょのベーシストさんです。

 

Cf012 
「INTO THE PANDEMONIUM」(1987)

バンド最大の問題作の3rd。

この次のアルバムの方が問題作かもしれませんが、世に与えた影響の大きさからするとこっちの方が問題です。

2ndでアグレッシブなことはやりつくした感があったのか、3rdではかなり音がソフトになっています。

スラッシュらしい曲は一曲くらいしかありませんし、中にはメタルとも言えない曲も収録されています。

2ndで見られた、クラシカルパートや女性ボーカルの導入はさらに大胆に試みられ、中にはソプラノ女性ボーカルだけで歌うクラシック曲のようなものもあります。

そうかと思えば、打ち込みだけで作られたクラブミュージックのようなものもあったりと、かなりアルバムの内容は多岐に渡っています。

……というより、アルバム解説や、メンバーもインタビューでも語っていましたが、このアルバムではあまりにいろいろなことに手を出しすぎていたために、アルバム・バンド共に崩壊しかけていた。とのこと。

 

1990年代初頭から半ばにかけて、メロディックデスメタルから派生したと思われる、スローでドゥーミーで、クラシカルかつポップなメロディを取り入れたメタルのジャンルが登場しだします。

中世ヨーロッパの荘厳な雰囲気をたたえたそのジャンルは、ゴシックメタルと呼ばれました。

それらゴシックメタルバンドは、全部が全部ではないものの、たいていこの「INTO THE PANDEMONIUM」からの影響を挙げています。

その最たるものはTHERIONでしょうか。

THERION1995年発表の3rdアルバム「LEPACA KLIFFOTH」にて、「INTO THE PANDEMONIUM」収録の「SORROW OF THE MOON」をカバーしてるだけでなく、「INTO THE PANDEMONIUM」に参加していたソプラノボーカルを呼び寄せ、「LEPACA KLIFFOTH」でゲスト参加させている辺りに、並々ならないファン意識と敬意を感じさせてくれます。

 

CELTIC FROSTの1st、2ndを聞いてきて、邪悪でアグレッシブなイメージを持ってきた従来のファンは、当時この3rdアルバムの方向転換にかなり疑問を持ったものと思われます。

また「ブラックメタルの始祖」として、興味を持った今の若いメタルファンが手にした場合も、あまりの内容のソフトさに肩透かしを食らう恐れもあります。

 

わたくしの場合、ハッキリ申しますと、この3rdアルバム「INTO THE PANDEMONIUM」がもっともCELTIC FROSTで最高傑作だと思っています。

結果的に方向性が散漫になっていようが、それは当時のバンドメンバーがアイデア豊富であった証拠であり、単にそれらをまとめることが出来なかっただけだと思っているからです。

てか、わたくしこの「INTO THE PANDEMONIUM」アルバム、前衛的な内容だとは思いますが、崩壊しているとまでは思いません。

強いて言えば崩壊寸前のところで踏みとどまってる感じで、このギリギリのラインがたまらないのです。

ソフトな音であろうと、実験的な音であろうと、自身の美意識とへヴィミュージックの可能性をさらに推し進めた結果が「INTO THE PANDEMONIUM」だと思っています。

その結果、時間はかかったものの後続のバンドが「INTO THE PANDEMONIUM」でやろうとしていたことを、ゴシックメタルというカタチでさらに押し広げていった動きというのは、見逃せない事実だと思います。

CELTIC FROSTが1stや2ndのアグレッシブ路線を発表しただけで踏みとどまっていたら、1990年代以降のメタル界もずいぶん変わっていたのではないか? と思わざるを得ません。

また、CELTIC FROSTが「アヴァンギャルド・メタル・バンド」と呼ばれることが多いのは、ひとえに「INTO THE PANDEMONIUM」の存在があるからに他なりません。

Celtic_frost04

旧盤のジャケット。

ちなみにアルバムジャケットは、中世の宗教画家(悪魔画家)ヒロエニムス・ボッシュ作の『快楽の園 地獄』という作品の一部を使っています。

検索すれば、すぐにこの元画は見つかります。

で、元画見れば分かりますが、なんでこの部分使ったの? ってくらい変なところを使ってます。フツーならもっと手前部分を抜き出しそうなものですけど。

余談ですけど、CATHEDRALのアルバムジャケットで有名な画家デイブ・パチェットさんは、明らかにこのボッシュの作風に影響受けてますね。特に異形のモノの描き方とか、構図とか。

 

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOICE/GUITAR/SYNTH/EFFECTS
MARTIN ERIC AIN:BASS/VOCALS/EFFECTS
REED ST. MARK:DRUMS/TYMPANI/PERCUSSION/VOCALS/SYNTH

Into

ところで、CELTIC FROSTは次のアルバムで「変わった」と言われますが、その兆候はすでに「INTO THE PANDEMONIUM」で現れ始めています。

衣装が全く変わっています。

スタッド&レザーをやめて、すっかりおしゃれ路線になってるではありませんか。しかも裏ジャケでTGFさん、U.S.AIRFORSEのブルゾンを着て不敵な笑顔で写ってらっしゃいます。

これって、ニューヨーク出身のドラマー、リード・セント・マークさんの影響もあったりするかな??

 

Cf009
「COLD LAKE」(1988)

こちらがCELTIC FROSTの迷作と誉れ高い4thアルバムです。

何がマズイって、完全にアメリカ市場を意識した明るいポップ路線にすっかりサマ変わりしてる点が問題です。

Cold_lake

それは裏ジャケのバンド写真を見れば一目瞭然。

とても上記と同じバンドに見えません(笑)まあ、B級LAメタルってトコですね。

曲自体も、ちょっと悪ぶったLAメタル風で、CELTIC FROSTらしさは微塵もありません。てか、よくもここまで変われるモノですね。前作からわずか一年で。

 

この辺り、バンドやレーベルに何があったのか、よく分かりません。インタビュー等でも、メンバーは明確な答え方をしてないので、あまり思い出したくないのでしょう。

また、1999年と2007年のリマスターでも、このアルバムだけ再発されていない所からも、バンド的に「汚点」としてとらえてるのがよく分かります(笑)

まあ、1980年代後半というと、ちょっと人気の出たヨーロッパのバンドがこぞってアメリカ進出を目指して、ことごとく失敗してますからね。他にも同罪のバンドはたくさんいますよ。

失敗の一番の理由は、アメリカで売れたくてアメリカの音楽に合わせようとするあまり、自分たちのスタイルを崩してしまってる点ですね。これはいただけません。

まあ、長いバンド活動の中で、コレくらいの失敗がひとつやふたつあった方が、人間味があっていいってもんです♪

 

てか、アメリカ進出するというだけで、こーゆーポップな曲も書けるんだ! と改めてTGFさんのフトコロ深さ、引き出しの多さに驚かされます。

結果的に迷走してますけど、ある意味これも実験作ということで、バンドの創作意欲の高さを感じさせてくれます。

 

ちなみに、このアルバムジャケットで新しいバンドロゴ「CFマーク」を使用していますが、コレだけは気に入っていたのか、それ以降2006年の復活アルバムまで、このシャープでメタリックなロゴを使い続けています。

 

あとこのアルバム、まったく再発されていない上、「迷作」という評価も手伝って、えらくプレミアがついてるようです。場合によっちゃ数万で取引されてるとか……。

大枚はたいて買う価値は……まあ、これは熱心なファンが買うコレクターアイテムですな。TGFさんにもこんな時があったんだ♪ とひそかに笑うくらいはできます。

バンドメンバーですが、オリジナルベーシストのマーティンさんが脱退し、1stでドラム叩いてたステファンさんが復帰してます。ステファンさんもえらい変わりようで……。

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOICE/RHYTHM GUITAR
OLIVER AMBERG:LEAD GUITAR
CURT VICTOR BRYANT:BASS
STAPHEN PRIESTLY:DRUMS

 

Cf005

「VANITY/NEMESIS」(1990)

さすがに前作「COLD LAKE」路線は失敗だと思ったのか、すぐに軌道修正してスラッシュ路線に戻ってきます。

わずか2、3年でこうも人間ってコロコロ変われるんだ! と感心してしまいます。

驚きなのは、オリジナルベーシストのマーティンさんが復帰して、前作とメンバーが一名しか変わってないのに、こうまで変われる点ですな。すごいのひと言。

ただ、アルバムジャケット見れば分かりますが、どこかクールでインテリジェンスな印象を受けます。

アルバムの内容も、曲自体の出来は悪くないものの、2ndまでの暴虐かつ暴走路線はなくなっています。3rdのころの気高いゴシック路線もありません。

良くも悪くも落ち着いてしまって、良質なメタルではあるものの、CELTIC FROSTらしさがないので、イマイチ楽しめません。

 

要するに、今までCELTIC FROSTというバンドは、アルバムごとに実験を繰り返してきた印象があるのですが、このアルバムには探究心が感じられないというか、すごく保守的なアルバムに聞こえてしまうのです。

もっと言えば「COLD LAKE」で失敗したから、あわてて埋め合わせ作品をリリースして、何もなかったことにしようとしていたみたいな……。

でもまあ、こーゆー普遍的に楽しめる落ち着いたメタルアルバムも作れるんだ、とTGFさんの器用さに感心させられます。

アルバムカタログの中に、こんなのあってもいーでしょ? と納得させられるくらいの完成度はあると思います。

 

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOCAL/GUITAR
CURT VICTOR BRYANT:GUITAR
MARTIN ERIC AIN:BASS
STAPHEN PRIESTLY:DRUMS

 

Cf011
「PARCHED WITH THIRST AM I AND DYING」(1992)

未発表・再レコーディング・レア音源集です。

ひと言で言えば、ファン向けのコレクターアイテムです。

オリジナル曲との違いを聞き比べて遊ぶくらいしか、聞き所はないので、あまりオススメできるものではないですね。

代表曲はそろってるものの、ベスト盤と呼べるような選曲でもありませんし。

 

その後、バンドは「UNDER APOLLYON SUN」という2枚組みのアルバムをリリースする予定だったそうですが、それは結局お蔵入りとなり、バンドは解散してしまいます。

というわけで、結果的にこのアルバムが、一期CELTIC FROSTのオリジナルアルバムとしてはラストの作品になってしまいます。

 

Cf010_1
「IN MEMORY OF ... CELTIC FROST」(1996)

これは、CELTIC FROSTのトリビュートアルバムです。

1990年代中期は、メタルが全体的に低迷したせいか、人気のあったバンドのトリビュートアルバムがたくさんリリースされた時期でもありました。CELTIC FROSTもそのひとつだったわけです。

わたくしはトリビュートアルバムにはあまり興味ありませんが、このCDだけは別格。

なぜなら、CELTIC FROST解散後「APOLLYON'S SUN」というバンドを結成した、TGFさん本人が参加していたからです。これはファンなら絶対そろえとかなきゃ♪ ですね。

 

選曲は、3rdアルバム収録の「BABYLON FELL

気になる音は、「VANITY/NEMESIS」で聞けるような、落ち着いたインテリ路線のメタルといった感じかな?

As

バンド写真見れば分かりますが、風貌も「VANITY/NEMESIS」と同じインテリ路線。見ようによっちゃジャズ/フュージョンバンドみたい。

カバーした曲も、どっちかといえば落ち着いてるので、まあこんなものかな? と可も不可もなしといったところ。やはりコレクターアイテムですな。

てか、他の参加バンド見たら、「MAYHEM」「OPETH」「EMPEROR」などなど北欧のブラックメタルの大御所がいらっしゃいます。それだけCELTIC FROSTの影響力の大きさが計り知れるというもの。

 

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL WARRIOR:VOICE/GUITAR
EROL DAAE:GUITAR
DANNY ZIGG:BASS
STAPHEN PRIESTLY:DRUMS

 

Cf000
「GOD LEAVES (AND DIES) / APOLLYON SUN」(1998)

上記のトリビュートアルバムに参加した「APOLLYON'S SUN」ですが、結局アルバムをリリースすることなく頓挫してしまったようです。

その代わり「APOLLYON SUN」という名義で、インダストリアルバンドを立ち上げます。

このCDは、まずは顔見世的な5曲収録のミニアルバムです。

 

メタルでもスラッシュでもなく、テクノ/インダストリアル路線で来た所に当時かなり驚きました。

確かに、3rdアルバムでクラブミュージック風の曲を披露するなど、そちらのジャンルの造詣の深さも垣間見せてくれた経緯もありますが、よもやバンドを組んでまでやるとは予想外でした。

気になる音は、ドゥームっぽいスローテンポのへヴィミュージックをテクノ風にやってるような感じですね。少々ですが、ゴシック風味もあって、結構面白いことをやってらっしゃいます。

てか、またしてもTGFさんの幅の広さ、探究心に驚かされる思いです。

……ただ、残念なのは日本盤がリリースされないなど、ほとんど話題になってなかった点でしょうか。まあ、確かにTGFさんにこーゆーのを求めてる人は少ないでしょうなあ。

Apollyon_sun02

バンド写真もこんなんだし……言われなきゃというか言われてもTGFさんだと分かりません(笑)

ちなみにTGFさん、このアルバムから「THOMAS GABRIEL WARRIOR」という芸名から、「THOMAS GABRIEL FISCHER」と本名表記に替えています。

 

CDインナー表記によるバンドメンバーですが、名前だけが書いてあるだけのシンプルなものなので、誰がどのパートをやってるかまでは分かりません。

ただ、次作のメンバー表記を参考に書きますとこのようになります。

THOMAS GABRIEL FISCHER:VOICE/GUITAR
EROL UNALA:GUITAR
DANY ZINGG:BASS
MARKY EDELMANN:DRUMS
ROGER MULLER:不明

ちなみにギターのEROL UNALAさんは、トリビュートアルバムに参加していたEROL DAAEさんではないかと推測されます。この方は、復活作の「MONOTHEIST」でもギター弾いてらっしゃいますね。

ベースのDANY ZINGGさんも、トリビュートアルバムに参加していたDANNY ZIGGさんと同じ人ではないかと推測してます。単にスペル間違いされてしまったのではないかと。

 

Cf001
「SUB / APOLLYON SUN」(2000)

ミニアルバムリリース後、満を持して、かどーか分かりませんが「APOLLYON SUN」名義でのフルアルバムをリリースします。

とはいえ、全てオリジナル曲というわけでなく、ミニアルバムから2曲ほどバージョン違いを収録しているなど、どこまで本気でやっていたかは不明です。

ただ個人的には、このインダストリアルゴシック(わたくしが勝手に命名)というジャンルは嫌いじゃない、というか結構好きなので、実はこの路線を突き詰めてほしいというのが本音です。

TGFさんというと、CELTIC FROSTのイメージがあまりに強すぎますが、APOLLYON SUNがあまりにCELTIC FROSTとかけ離れたことをやってくれたおかげで、かなり吹っ切れて聞けたというのも事実。

 

アルバムで聞ける曲はというと、前作のミニアルバム同様、スローでドゥーミーなへヴィミュージックをテクノ/インダストリアル風にやってる感じ。

地を這うというか、まとわりつくようなへヴィネスは、CELTIC FROSTの復活作「MONOTHEIST」に通じるものがあると、わたくしはにらんでいます。

アルバムには「SLENDER」というシンプルなバラード曲が収録されているのですが、これがえらく名曲でして、改めてTGFさんの作曲能力の高さに驚かされました。

どことなく、TGFさんの趣味・お遊びプロジェクト的なものを感じなくもないですが、もうちょっと評価されてもいいプロジェクトであり、アルバムだと思うのですが……。

 

現在は再結成CELTIC FROSTで忙しいTGFさんだとは思いますが、時々でもいいんでソロアルバム的にAPOLLYON SUNを続けていってもらいたいな~。

この、インダストリアルゴシックって、もっと広がっていく可能性のある未開拓のジャンルだと思ってます。(真剣)

PARADISE LOSTTHE GATHERINGのようなゴシックバンドが、だんだんテクノ/エレクトロポップ路線になって行くのとはまた違うアプローチの仕方だと思うので。

 

ところで、1990年代中期~後期というと、ベテランミュージシャンが若手ミュージシャンを引き連れて、その当時流行っていた音楽をやるという流れが増えた時期でもありました。

でも、そのほとんどが年寄りの冷や水……もとい、あまりにイメージとかけ離れたことをやりすぎていて、従来のファンからは批判された上に、若いファンも獲得できないという散々な結果に終わったというパターンが多かったように思います。

その中にあって、このAPOLLYON SUNはリリース面でこそ苦戦を強いられたと思われますが、音楽性は高く評価したいです。

この、ベテランミュージシャンが若手を引き連れて……というプロジェクトで成功したものというと、わたくしはこのAPOLLYON SUNと、BLACK SABBATHのベーシストのギーザー・バトラーが結成した「g//z/r(GEEZER)」くらいなモノだと思ってます。

 

CDインナー表記によるバンドメンバー
THOMAS GABRIEL FISCHER:VOICE/GUITAR
DONOVAN JOHN SZYPURA:PROGRAMMING
EROL UNALA:GUITAR/GROOVES
DANY ZINGG:BASS
MARKY EDELMANN:DRUMS/SYNTH

 

Cf007
「MONOTHEIST / CELTIC FROST」(2006)

APOLLYON SUNのアルバム発表後、2001年にはCELTIC FROSTを再結成させる、といったことは決まっていたようです。

これは、世の中的にCELTIC FROSTを再評価する動きが高まっていったことへの、TGFさんなりの感謝の気持ちを込めての再結成ではないかと、わたくしは思っています。

下世話な話、APOLLYON SUNがどれだけ評価されてたかビミョ~ですし、それなら人気のあるバンドを再結成させようじゃないか、という流れになるのは当然だと思えます。

2000年以降、1980年代スラッシュメタルバンドが再結成したり、黄金期のラインナップに戻したり、といった動きが多くなってましたから、CELTIC FROSTもそれに乗っかったのかもしれません。

 

再結成するに当たって、黄金期のラインナップである、ベースのマーティン・エリック・エインさんと、ドラムのリード・セント・マークさんの復帰は欠かせなかったようです。

色々と調整されたようですが、結局リード・セント・マークさんは参加せず、新しいドラムの人を迎え入れてます。

 

このアルバムについては以前事細かに書いたので、そちらを読んでくださいませ。

(参照記事:2006年6/4 MONOTHEIST / CELTIC FROST

 

昔人気のあったバンドが再結成した場合、そのほとんどが失敗、もしくはあまり高い評価を受けずに再び解散。という事例が多いのも事実。

バンドが再結成する場合、必ずといっていいほど絶頂期のころと比較されますから、その時点でバンドはかなり不利な状況に置かれます。

また歳も取ってますから、まず若い頃のような勢いは出せませんし。

ですから、ビジネス的に成功させようと思ったら、あえて復活アルバムは作らずに全盛期の人気曲だけでライブツアーをやる、のが賢いやり方です。

……そーゆーバンドがいくつかいますな(笑)

そんな中、全盛期以上にテンションの高い活動をしている、DESTRUCTIONEXODUSは立派!!

 

CELTIC FROSTは復活アルバムを作りました。

正直に白状しますと、実はわたくしこのCELTIC FROSTの復活アルバムは、あまり期待はしてませんでした。

再結成してくれたこと自体が奇跡であり、事件なので、それだけで諸手を挙げて喜ぶ準備をしておりました。

アルバムに関しては「TO MEGA THERION」のようなものを作れるとは、とうてい考えられませんでしたから。

これは今のMETALLICAが「KILL 'EM ALL」を作るくらい無茶な注文ですので……。

だからせいぜい「VANITY/NEMESIS」路線の、インテリ路線の落ち着いたメタルかな~と事前に予想してましたが……。

まあ、見事に期待を裏切ってくれましたね。良い方向に。

MONOTHEIST」というバンド史上、もっともヘヴィなアルバムを出してきたCELTIC FROSTに拍手を送りたいです。

やっぱりTGFさんって、すごい人なんだなと、改めて感心しきり。

 

んで、2007年1月に初来日を果たしたCELTIC FROSTですけど、そのライブを見に行けなかったことが悔やまれてなりません。一生の不覚とはまさにこのこと。

なので、ぜひともこの再結成ライブのDVDをリリースしてもらいたい、と願ってやみません。

 

……と、長々とCELTIC FROST、というよりTGFさんの活動の紹介記事は以上で終了です。

田舎でささやかにCELTIC FROSTを応援している、いちファンのつぶやきでした。

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コメント

素晴らしい記事をありがとうございます!明日も読みまーす。

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