グスコーブドリの伝記
見てきました。メンズデーだったので千円で見れました。
あ、ネタバレするかもしれないのでご注意を。
宮沢賢治大好きなので、グスコーブドリの伝記の原作を読んだことがあります。
また、猫キャラクター原案である、ますむら・ひろしの作品も好きなので、彼の描いた漫画版も読みました。
そして、小学生の頃、このますむら・ひろし猫版の銀河鉄道の夜の劇場版も見ました。
なので、今作品は、前作とも言うべき銀河鉄道の夜の次作として見させていただきました。
監督も同じ杉井ギサブローさんだったので期待はしてました。
小学生の頃に見た、劇場版銀河鉄道の夜は、幼心にとても染み入る幻想風景でした。
今作は、そんな昔見た心象のイメージを崩すことがなかったばかりか、さらに奥深い素晴らしい幻想世界を見せてくれました。
記憶の中で美化された、昔の風景と比較しても遜色が全くなかったのです。(とはいえ銀河鉄道の夜は今でもたまに見てますが……)
また、効果音の使い方が凝っていて、前半ブドリが山にいるシーンでは鳥のさえずりがかすかに聞こえたりしていて、ちょっと感動。
しかし、サントラの方はまあ普通って感じ。可もなく不可もなく。てゆうか、前作の細野晴臣さんのサントラが秀作すぎたのですが。今作のサントラが発売されたら、買いたいか? と言われたら、う~んあんまりほしくないなあ。
ラストに流れる、テーマソングである小田和正の「生まれ来る子供たちのために」の使用もちょっと「?」という感じです。元々この曲は小田氏がオフコース時代の1979年に発売されたアルバムに収録されていたもので、後にソロ活動するようになり、セルフカバーされたものが映画では使用されたようです。
わたくしはオフコース及び小田和正のファンです。だからこそ、なぜこの曲を使うのか? と疑問に感じるのです。確かに小田氏の曲が映画で流れることは嬉しいです。でも、何で? しかもこの曲を? 誰が選んだの?
グスコーブドリの伝記は、飢饉などで飢える子供たちを救いたい気持ちがテーマになっています。それが曲と一致したのかもしれません。
さて、作品の方ですが、序盤は割と原作に忠実に作ってありますが、中盤以降段々とアレンジが入り始めます。
必要あるのか? というシーンを長々と続けたかと思えば、削っちゃダメだろ、という場面がカットされています。
ブドリの農業への熱心さを描いた部分はもうちょっと欲しかったし、妹のネリとの再会シーンは欲しかったし、何と言ってもラストシーンをぼかすのはちょっと……。
あれではラストに何が起きたかワカランじゃないですか?
せめて、自分が犠牲になることで、みんなを救うという意思表示だけでもしてほしかった。まあ、クーボー博士との会話シーンで推測しろってことなのかもしれませんが。
劇中に登場するやはり宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩や、前作にもあるように、本当の幸いのためなら自分が犠牲になっても構わない、という精神が根底にあるはずなのです。
ジョバンニ曰く、サソリのように、本当の幸いのためなら百ぺん体を焼いたって構わないのです。
そこのところをもう少しハッキリと表現して欲しかったかな?
アニメ映画としてみた場合、グラフィックやデザイン、演出はとてもよくできていますが、宮沢賢治ファン的な目線で見るとなんか消化不良でした。
そんな宮沢賢治ファン目線で見ると、前作銀河鉄道の夜に登場したキャラクターが各所に散りばめてあって、懐かしいと思わせてくれました。
ブドリなんて、ジョバンニそのものだし。
なので、今作はわたくしと同じ、宮沢賢治ファンで、ますむら・ひろしファンで、前作銀河鉄道の夜のファン向けに作られた作品なのかもしれません。
ただ、銀河鉄道の夜にはあった情念というものが、今作には感じられなかった気がします。
とはいえ内輪だけで面白がっていてはイカンと思ったのか、声優陣に小栗旬を抜擢するなどの話題性を作っています。
この小栗旬の声がどうも好きになれなくて、感情移入が難しかったです。別に小栗旬が悪いわけではなくて、もっと他に候補者いなかったのか? って話です。
あと、ブドリの「あぁ」とか「はぁ」とかいう感嘆のセリフじゃないセリフがやたら多くて、しかもそれがワンパターンに聞こえて、とても耳につきました。脚本の問題なのかもしれませんが、もう少し工夫が欲しかったかな?
とまあ、グダグダ書きましたが、一本のアニメ映画としてみれば、良く出来ていると思います。改めて日本のアニメ技術はすごいと納得させられました。
この作品を、何の先入観も持っていない人の感想が知りたいですね。
それも小中学生くらいの年代の人の感想が。グスコーブドリの伝記が彼らの中で、大きなインスピレーションを抱かせる作品であるのなら、それは映画の完成度が高いということでしょう。
大人になった自分の目線では分からない、何かを感じ取れるのが、思春期の感受性だと思うので。
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